情報発信
いまさら聞けないゲノムの基礎知識
- その他
牛群の改良にあたり、ゲノム検査を導入される農場が増加していますが、そもそもゲノムとは一体何でしょうか。
また、ゲノム検査を行うことで何ができるでしょうか。今回はゲノム検査について、基礎的な内容を解説します。
ゲノムとは?遺伝子、染色体、DNAとの違い
ゲノムとは「gene(遺伝子)」と「chromosome(染色体)」を合わせた造語で「すべての遺伝情報」を指しますが、これでは分かり辛いので「本」で例えます。ヒトのすべての遺伝情報(=ゲノム)は、23×2=46冊(牛は60冊)の本に書かれています。その中の1冊(=染色体)には、4種類の文字(=DNA)が沢山並んであり、よく見ると「乳量が出る」「病気に強い」等の意味のある文字列(=遺伝子)と、でたらめな文字列があります。文字列は個体毎に異なるうえ、生涯変わることはないため、文字列を読むことで遺伝的能力を推定できます。

ゲノム検査の特徴と活用法
農場によって理想とする牛群は異なります。具体的には「乳量が出る」「病気に強い」「繁殖成績が良い」「大人しい」等の牛群がしばしば挙げられますが、ゲノム検査は「目指す牛群を最速で揃える」ことをサポートしてくれます。これまで、遺伝的能力は種牛と母牛から推定することしかできませんでしたが、ゲノム検査により子牛から直接的に評価することが可能になりました。ゲノムの相対的な評価値は、一度測定すれば生涯変わることはありません。これにより、早期の更新戦略(例:似た牛がいる際に評価値が高い牛を残す)や、交配計画(例:評価値が高い牛に性判別精液、ET、OPU-IVF)等が実現し、改良速度の向上を生み出しています。
総合インデックスとは?
目の前の牛を評価する際、例えば「乳量」のゲノム値のみで評価してしまうと、その他の「繁殖」や「耐病性」の能力が低い場合があり、結果的に本当の経済的価値を反映できない可能性があります。そこで「体系」「乳量・乳質」「繁殖性」「耐病性」など複数の形質を独自に組み合わせて、総合的な経済的価値を計算したのが「総合インデックス」になります。日本で主に使用されている総合インデックスは「DWP$」「NM$」「TPI」「NTP」の4つですが、各指標によって「どの項目を大事にするか」が異なります。目指す牛群にマッチした総合指標を取り入れるのがポイントです。

ベースチェンジについて
遺伝的能力の強さは、過去の膨大なデータとその実績をもとに、統計的に算出されます。しかし、年月の経過と共にデータも蓄積されるため「昔の年代では優秀だったが、今の評価では普通」という様なケースが生じます。そこで、評価機関は5年に一度基準値をアップデートし(直近は令和7年4月)、より正確な推定を行います。従って、ベースチェンジの前後で個体の評価値が変化しますが、あくまで基準値が変化しただけであり、現在の牛群における相対的な順位は変わらないことに注意が必要です。
オホーツク統括センター
大空支所 小清水家畜診療所
獣医師 山東 駿



.jpg)
.jpg)



