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酪農家の生産支援に向けた繁殖検診戦略

  • 牛の繁殖・飼養管理

 従来の繁殖検診は妊娠率の向上に重点が置かれてきましたが、今日では牛群の更新頭数、交配計画、暑熱期の交配、ゲノム改良までを視野に入れた検診が行われています。
ここでは、酪農経営における繁殖検診の1つの戦略について紹介します。

改良を意識した交配計画

 まず、牛群の年間更新頭数に基づき通常10%増しの必要メス子牛頭数を算出します。乾乳牛舎の過密や分娩頭数の偏りを避けるため、月ごとのメス子牛妊娠目標頭数を設定することが重要です。 その上で、牛群の改良目標に合致した性選別精液を選択し、遺伝的改良の進んでいる育成牛に優先して交配することで、改良を意識した必要なメス子牛の妊娠を確保します。

暑熱期の交配戦略

 受胎率が低下する暑熱期においては、生胚移植や追移植などの対策が一般的です。比較的受胎率が高い育成牛は、暑熱期におけるメス子牛の妊娠確保を支える重要な役割を担います。 
しかし、育成牛の繁殖成績が思わしくない牛群では計画通りに進まず、結果として受胎率の低い経産牛への交配割合が増加し、全体の妊娠率が低下する原因となります。

哺乳・育成期における管理の重要性

 胎子期を含めた哺乳・育成期の管理が不十分であれば、優れた交配計画やゲノム改良を行っても期待通りの成果は得られません。せっかく生まれた高いゲノム評価を持つ子牛を、病気などで失うリスクもあります。 この時期の適切な飼養管理は、将来の牛群の繁殖成績に極めて大きな影響を及ぼします。

 メス子牛頭数を年間更新の10%増しの計画においては、ゲノム評価の結果、牛群の目標に適さないと判定された子牛であっても残さざるを得ず、改良のスピードが低下します。
そこで、OPUを活用してゲノム成績上位の牛からの受精卵を下位の牛に移植することで、牛群全体の遺伝的能力を底上げします。市場で流通している受精卵を購入する際は、事前にそのゲノム成績を確認し、牛群の成績と比較し、改良したい形質が向上するかを十分に検討することが重要です。
一方で、必要更新頭数以上のメス子牛を確保できれば、ゲノム評価下位の子牛を保留せずに売却し、選抜圧を高めて改良を進めることができます。
どちらを採用するかは、育成牛舎の収容頭数や市場価格の動向などを考慮し、各農場の経営状況に合わせて選択することが推奨されます。

●当該繁殖事業および新戦略の推進により、ゲノム改良の進展と育成期肺炎や蹄病発生の減少が認められた農場
 (経産牛頭数82頭 検定日乳量/頭36.0㎏ 乳脂肪率4.56% 乳価131円 予定分娩間隔397日)

●3年間の月別子牛育成肺炎および蹄病の発生頭数推移

                                 オホーツク統括センター
                                 北見家畜診療所 山本 展司

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