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長期不受胎牛を減らしましょう
- 牛の繁殖・飼養管理
繁殖成績は、畜産経営に影響する直接的な要因のひとつです。今回は、長期不受胎となってしまう牛のなかで、表面上異常が見られない牛の原因とその対処法をご紹介します。
長期不受胎の要因と対処法
(1)子宮内膜炎
子宮内膜炎は、子宮内部を覆っている粘膜の炎症です。子宮内膜炎は、精子の運動性や胚(受精卵が発育したもの)の生存、着床に悪影響を及ぼし受胎率を低下させます。長期不受胎牛の子宮を検査すると、約半数が排膿を示さない子宮内膜炎(潜在性子宮内膜炎)だったという報告もあります。そのため、一見子宮に問題がなさそうでも子宮内膜炎に罹患している可能性があるので注意が必要です。対処法としては、子宮洗浄やポピドンヨード剤等の子宮内注入などがあります


(2)妊娠に関わるホルモン・タンパク質の不足
黄体から分泌されるホルモン(黄体ホルモン)は、妊娠の成立・維持や胚発育に関与します。黄体機能が低下したり栄養状態が良くないと、黄体ホルモンが不足し受胎率が低下します。また、胚から分泌される妊娠の認識に関与するタンパク質(INF-τ)が不足している場合も、胚の存在を認識できず妊娠の維持が困難になります。これらの場合「それぞれ不足しているものを補う」というのが対処法になります。
黄体ホルモン不足の場合は、授精後5日目にGnRH製剤やhCG製剤を投与し黄体を強化したり、膣内留置型黄体ホルモン製剤(シダーやプリッド)を入れて黄体ホルモンを直接補います。また、妊娠の認識に関与するタンパク質不足への対応は、授精後7日目に受精卵移植を行う(追い移植)ことにより不足を補うことができます。また、排卵する卵胞の質や発育環境もこれらのホルモンやタンパク質の不足に関与するため、排卵同期化プログラムによって良質な卵胞を発育・排卵させて授精を行うのも有効です。

(3)発情の見逃し、発情徴候の微弱化
牛の発情間隔は約21日であり、一回発情を逃してしまうとその分空胎日数は伸びていきます。また、発情を見つけても適切なタイミングに授精できなければ、受胎率も低下します。発情を見逃さず、適切なタイミングで授精することはともて重要です。しかし、なかなか発情徴候を示さない牛も存在し、特に高泌乳牛は徴候が弱いと言われています。場合によってはPG製剤の投与による発情誘起や排卵同期化プログラムによる定時授精などが有効です。
(4)飼養管理や環境の影響
飼養管理も妊娠維持に関して重要な要素である、不適当な飼料設計等による低エネルギー状態、過密・暑熱・牛群内序列などによるストレス、他疾患による影響があげられます。これらの存在はホルモンバランスの乱れや免疫系への異常を引き起こし、受胎障害や胚死滅の原因となります。また、人工授精の際に衛生管理や正しい手法なども重要です。
最後に
さまざまな文献で空胎日数の延長による経済的損失の影響が示されています。農場の規模や泌乳量などで変動はありますが、1日受胎が遅れるごとに約1200~1500円の損失になると試算されています。
長期不受胎の原因はさまざまで、対処法もそれぞれ異なります。お困りの際は、ぜひお近くのNOSAI獣医師に相談してみてください。今回の記事が繁殖管理の見直しのきっかけとなれば幸いです。
十勝統括センター
南部支所 十勝南部家畜診療所
獣医師 松村 知周



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