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成牛のナックルについて

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 「ナックル」とは、球節が前方へ突出した時の状態を示しています。成乳牛のナックルは、後肢で発病することが多く、分娩後の乳熱や難産などに続いて起こる神経麻痺や筋肉の損傷によるものと、分娩から時間が経過した牛で起こるケトーシスによるもの(通称:ケトナックル)があります。発病した牛は、起立難渋や起立時間の短縮、採食量の低下によって乳量が低下し、最終的に廃用となることもあります。今回は成牛のナックルについて詳しく説明します。

原因と症状

 ナックルの原因となる後肢の神経麻痺や筋肉の損傷は、難産や産後の起立不能、滑走や転倒などの外傷によっても起こります。神経麻痺では、後肢の運動機能や痛覚の低下、筋損傷では下腿部の腫脤などが症状として表れます。これからの多くは、片方の肢だけに起こりますが、罹患した肢をかばいながら寝起きすることで、反対側の肢にも生じてしまうこともあります。
 一方で、ケトーシスに続発するナックルは、乳量の増加からエネルギー不足となった牛が、体脂肪の分解だけではエネルギーを確保できず、筋肉も分解して能力が低下し、負荷の大きい後肢が体重を支えきれなくなることで起こります。ケトーシス継発性のナックルは、泌乳最盛期の牛や高泌乳で痩せている牛で両側の肢で発生することが多く、発症牛の乳タンパク率は低下し、両側の下腿部は削瘦しています。さらに、ナックル発症の根本的な要因として、寝起きや起立状態の維持のしづらさによる筋肉の持続的な負荷も考えられます。

治療と予防

 治療には、消炎鎮痛薬やビタミン剤、湿布薬などが用いられ、乳熱やケトーシスなどの原因となる疾患があれば、その治療も併せて行います。ナックル肢勢を矯正し、体重負荷を軽減するため、ギプスやナックルケアで固定することも有効です。継発疾病を予防するために、肢間ベルトを装着するのも良いです。また、ケトーシスに継発したナックルの場合は、重度の低栄養状態を改善するため、アミノ酸製剤の輸液やバイパスアミノ酸の飼料添加も有益です。
 予防策としては、乳熱予防のための分娩前のビタミンD3の投与や、ケトーシス治療時のアミノ酸の補給などが考えられます。さらに、寝起きや起立状態の維持がストレスなく行えるように、飼養環境も改善点がないかチェックしてみましょう。
 ナックルを治療せずに放置しておくと、病態が進行し、治療が不可能となる場合もあります。発症牛を見つけた場合は早めに獣医師へ連絡してください。

ケトナックル発症牛

ひがし統括センター
根室南部支所 根室家畜診療所
獣医師 亀谷 牧子

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