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子牛の下痢に使う経口薬の選択について
- 子牛の疾病
子牛の下痢は、新生子期~1カ月齢以内に起こりやすく、軽度なものから最悪の場合死に至ることもあり、子牛の飼養管理上重要な疾病です。子牛の下痢自体は、子牛を飼育するうえで珍しいものではないため、畜主自身で自家治療を行う場面も多くあると思います。今回は、子牛の下痢でよく使用される経口薬に焦点を当てて、その種類や効果を見ていきたいと思います。
経口薬の分類
現在、市販されている経口薬は下記のように分類できます。
(1)純粋な生菌剤
生菌と最低限の添加物のみで構成された薬で、各菌の効能を直接及ぼします。
(2)添加物の入った生菌剤
生菌とその他消化器症状を及ぼす添加剤が入った薬で、基本的に下痢止めなどの漢方が混ぜられています。
(3)添加物のみ入った薬
下痢止め成分のみで構成された薬で、生菌は混ぜられていません。
(4)抗生剤
抗生剤と最低限の添加物で構成された薬です。
(5)その他(活性炭など)
上記の4つに当てはまらない種類のものです。
これらの薬のほとんどが単純性下痢に効能があるとされています。
どの薬を使用すればいいのか
子牛の下痢の原因をたどると、単純性下痢(非感染性:環境ストレスやミルクが原因の消化不良)と感染性下痢(原因:細菌、ウイルス、原虫)に分類されますが、その様相は時間経過とともに複雑となり、複数の原因で下痢を呈する場合も多いため、経口薬の想定している状況ではないことも多くあります。それでは、経口薬を使う意味がないように感じますが、原因を特定できてもそれに対する特効薬はほとんどないため、対症療法として経口薬を使用する意義はあると考えます。
例えばこのように使用することを提案します。
1⃣日常の予防的使い方や軽度の下痢の時
➡純粋な生菌剤や添加物の入った薬
純粋な生菌剤は、比較的安全ですので長く使いたい時にお勧めです。
2⃣脱水を伴う中~重症の下痢
➡添加物の入った薬や純粋な生菌剤など
下痢止め成分が入った経口薬は、下痢を多少緩和し脱水などの死に至る状態を遅らせることが期待できます。しかし、改善がないことも非常に多いので、適宜薬を変更することをお勧めします。
3⃣肺炎など別の病気があり、抗生剤を使用している場合
➡添加物のみの薬
抗生剤を使用していると生菌剤を経口投与しても一部は死滅するため、経口薬の効果を十分に発揮するには生菌の入らない経口薬を使うことをお勧めします。(菌の中には死んだ状態でもよい効果を及ぼすものもいるので生菌剤が一概に効果がないとは言えません)
※上記1⃣~3⃣の経口薬の使用方法は、あくまで一例であり効果を保障するものではありません。
最後に
昔から製品化されている経口薬は多くても、その効果的な使い方はいまだ確率されていません。しかし、それら薬の特性を理解し、状況に応じてさまざま使い分けることで子牛の発育に良い影響を及ぼせるものと期待しています。

道央宗谷留萌センター
留萌北部家畜診療所
獣医師 堀江 一樹



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