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発情発見のポイント

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繁殖成績を上げるには発情の発見が重要です。しかし、近年は高泌乳牛の発情微弱化や、飼養頭数規模の拡大により発情発見が難しくなっています。ここでは、いくつかの文献を紹介しますので、日常の発情発見の参考にしてください。

発情発見の観察回数・時間について

表1は、発情の観察回数・時間による発情発見率を調べたものです。観察の回数と時間が増加すると発情発見率も高くなります。観察により発情発見率を高くするためには、1日2回以上、時間をかけて観察することが必要です。

発情を集中させる

一番重要な発情兆候であるスタンディング(乗駕を許容する動作)を見つけるためには、マウンティング(他の牛に乗駕する動作)を見つける必要があります。肢蹄の健康状態や牛床の状態にも影響を受けますが、同時に発情している牛が複数いると、お互いに刺激しあうためマウンティングの回数が増加します(表2)。また、ホルモン剤などを利用して発情牛を複数頭集中させることも発情発見率を高めるひとつの方法です。

発情を観察する時間帯について

発情観察を牛が発情行動を示しやすい時間帯に行えば、より効率的に発情発見が可能です。搾乳時間帯では発情兆候をほとんど示さず、搾乳終了後から活発になっています。また、暑い時期は夜間や早朝などの涼しい時間帯、寒い時期は暖かい日中に発情行動が認められやすいのが分かります(図1)。

最後に

効率よく発情発見するために、さまざまな発情発見補助器具が利用されています。補助器具のみに頼るのではなく、目視による発情視察と併用することにより、見逃しが少なく正確なより良い発情発見につながります(表3)。発情発見方法は様々ですが、より効率的に発情発見率を高めていきましょう。

参考文献
1 University of Arkansas,Agriculture and Natural Rrsources,publications FSA4004
2 J.A.Pennington:J.Daily Sci.68:3023-3030(1985)
3 J.F.Hurnik et al:Applied Animal Ethology 2:55-68(1975)
4 A.Holman et al:Veterinary Record 47:169.doi:10.1136/vr.d2344(2011)

十勝統括センター
十勝西部家畜診療所
太田 明

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