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育成牛の発育と繁殖の関係

  • 牛の繁殖・飼養管理
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 子牛が順調に発育し、早期に受胎、安全に分娩することは、酪農経営の収益性向上につながります。今回、ホルスタイン種雌育成牛の発育が繁殖に与える影響についてお話しします。

春機発動と性成熟

 繁殖活動への準備が始まる時期を「春機発動」といい、雌では発情が確認されます。何度かの発情を経て、繁殖活動の準備が完了した時期を「性成熟」といいます。
 一般に、ホルスタイン種雌牛の春機発動は8カ月齢頃といわれますが、その時期は個体によって異なります。下のグラフのように、8カ月齢時の体重が200㎏未満の牛では、春機発動も遅くなる傾向があることが分かります。春機発動が遅れると性成熟も遅れます。このことから、育成牛の体重と発情行動を示す時期には関係があり、この時期の栄養管理が今後の繁殖管理において、とても重要になります。

●8カ月齢時の体重と春機発動月齢の比較

草刈ら「乳牛における繁殖機能の発達と初産分娩月齢の早期化」根釧農試、2005

繁殖供用の開始時期

 乳牛の人工授精開始時期の目安は、体高および体重がそれぞれ成体の60%を超えたときとされており、ホルスタイン種では体高が125㎝以上、体重が350㎏以上とされています。現在、ホルスタイン種では13カ月齢の人工授精開始が管理目標として設定されており、この時期までに妊娠を維持し、安全に分娩できる体格にしておく必要があります。自然発情を確認したとしても、体格が小さければ人工授精を延期する場合もあります。

発育と受胎月齢

 平成28年度から令和3年度において、石狩支所管内の公共牧場に預託されたホルスタイン種雌育成牛のうち、入牧後の人工授精で受胎した1634頭を用いて、公共育成牧場における入牧時の発育状態と受胎月齢の関係について調査しました。
 入牧時の発育状態を数値化するため、入牧時の体重と推奨発育値※を比較し、発育状態を割合(%)として算出しました(体重と推奨発育値が同じなら100%)。その結果、入牧時の育成牛の発育状態が悪いと、それに比例するように受胎月齢が延長することがわかりました(下記グラフ)。現在、24カ月齢までの初産分娩が目標とされ、遅くとも14.8カ月齢での受胎が必要となります。そのためには、育成期の発育状態(体重)が推奨発育値の90%以上になるよう飼養することが推奨されます。
【参考文献:日本ホルスタイン登録協会「ホルスタイン種雌牛の推奨発育値」(2020)】

●公共牧場入牧時の発育状態(%)と平均受胎月齢の比較

最後に

 育成期の繁殖成績は発育状態の良否に左右されます。高い繁殖成績を得るためには、育成期からの適切な栄養管理が何より大切です。いま一度、育成牛の飼養管理について見直してみてはいかがでしょうか。

みなみ統括センター
石狩南部家畜診療所
林 真太朗

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